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遺伝子検査に対する姿勢
1.遺伝子検査をとりまく環境について
ヒトゲノム計画とその成果の実用化に関する期待

1980年代末に、数十カ国の科学者や専門家が多数参画する国際プロジェクトとして、「ヒトゲノムプロジェクト」が始まり、2003年3月には、ヒトゲノムの30億塩基対の配列情報(シーケンス)の解析を終了しました。この結果、ヒトの遺伝子の数は当初想定されていた約10万個ではなく2万個程度であることが明らかになりました。
また、新たにncRNAが多数存在することも明らかになり、「RNA新大陸の発見」として注目を集めるとともに、その後もヒトゲノムに関わる最新の研究成果が多数発表されています。最近は、「Hap Mapプロジェクト」後の「1000ゲノムプロジェクト」などヒトゲノムの比較研究が盛んに行われるようになりました。さらに、国内外で疫学研究を基盤とした大規模な分子疫学コホート研究も多数開始され、生活習慣とゲノム情報の関係を解明する研究も精力的に進められています。また、ノーベル賞を受賞したiPS細胞(人工多能性幹細胞)の樹立にゲノム情報が活用されたことも広く知られています。

一方、遺伝子解析技術の進歩も著しく、当初は個別の遺伝子の解析しか行えなかったものが、ゲノム全体をカバーしたDNAアレイ技術を用いることにより、多数の遺伝子の発現状態やCNV(Copy Number Variation:ゲノム上のコピー数の変化)解析およびゲノムワイドにSNP(Single Nucleotide Polymorphisms1塩基多型)を一度に解析できるGWAS解析(genome-wide association study)などが行えるようになりました。また、最近では高速シーケンサーの開発により、1000ドル以下の安価で高速かつ大量にヒトの全ゲノム情報を得ることが可能となってきたことから、パーソナルゲノム解析の時代が到来したとも言われています。

さらに、得られたゲノム情報をバイオインフォマティクス(生命情報学)を用いて解析することにより、創薬や個人の体質に応じた投薬や生活習慣病の予防に応用しようとする個別化医療の研究が盛んに行われるようになりました。これらの動向は、社会的・経済的意義が非常に大きいことから、遺伝子関連技術を含む「バイオ産業」や「ゲノム医療」への期待につながり、遺伝子検査として実用化することに対して大きな期待が寄せられています。
このように現在は、ヒトゲノムを解析することで得られる研究成果や様々な情報をどのように医療として実用化するかについて大変注目されている状況にあると言えます。

2.個人情報の保護と個人遺伝情報の保護と標準化の動向
2005年4月の「個人情報保護法」(平成15年法律第57号)の全面施行に伴い、研究分野において、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(2001年3月 文部科学省、厚生労働省、経済産業省)等が改正されるとともに、医療・介護分野においては「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのための個人情報保護ガイドライン」(2004年12月 厚生労働省)が新たに策定されました。この結果、個人情報や個人遺伝情報の取扱いに際しては、適正な利用と的確な安全管理措置(組織的、人的、物理的、技術的安全管理措置)を講ずることが求められるようになりました。
このような情勢の下、遺伝子検査については、標準化や精度確保の必要性が従来指摘されてきましたが、この問題をめぐり最近の国際的な動きが活発になっています。
まず、OECDでは、各種の遺伝子検査の共通課題を解決するため、国際的に調和された基準を作成する必要性を提起し、2007年5月に遺伝学的検査の質的保証に関する勧告(C(2007)48)を採択し、各国が行うべき政策等を明らかにする「分子遺伝学的検査における質保証に関するOECDガイドライン」を公開しました。
一方、国際標準化機構(ISO)のTC212専門委員会(TC212)でも、我が国の発議で2004年6月のISO/TC212総会において遺伝子検査の標準化が議論され、2005年2月に新規作業項目提案として正式に議題として上程されました。その後、OECDにおけるガイドライン策定作業とISO/TC212における提案の連携を図るため、2005年12月に両機関は書簡を交換し作業を加速させることに合意しています。
そして、2007年5月に開催されたISO/TC212総会において、我が国の提案(Resolution No.209)が承認され、臨床検査分野の遺伝子関連検査の質保証と能力要求に関する標準化の検討を開始することになりました。
このような情勢を踏まえ、NPO法人日本臨床検査標準協議会(JCCLS)では、遺伝子関連検査の質保証および標準化に関する各種取組み行っており、2006年度には「遺伝子関連検査の標準化に関する国内外の情勢を踏まえ、遺伝子関連検査の全体像を広くカバーし、幅広い視野から我が国が対応すべき方策等を検討すること」を目的として「遺伝子関連検査標準化専門委員会」を組織して、産学官(関連学会、登録衛生検査所、診断薬メーカー、厚生労働省・経済産業省等)が一同に参加する新たな検討体制を整備しました。さらにその下に、二つの作業グループを設置し、OECDより公表された「分子遺伝学的検査における質保証に関するガイドライン」受けて、我が国で実施されている遺伝子関連検査全体を対象とした「遺伝子関連検査に関する日本版ベストプラクティス・ガイドライン」(暫定文書)(2011年12月)を策定するとともに、検査の結果に大きな影響を及ぼす検体の取扱い(検査前のプロセス:プレアナリシス)の標準化を目的とした「遺伝子関連検査における検体品質管理マニュアル」(承認文書)(2011年12月)を公表しています。

3.遺伝子検査の現状
現在我が国で実施されている遺伝子検査は、感染症の原因となるウイルス・細菌等(HCV、HBV、結核菌、クラミジア、淋菌等)の外因性因子を調べる「病原体遺伝子検査」と、ヒトの遺伝子を検査する「ヒト遺伝子検査」の2分野に大別されます。
さらに、「ヒト遺伝子検査」は、白血病や固形腫瘍細胞(固形癌)に見られる後天的な遺伝子の構造変異や発現異常を調べる「体細胞遺伝子検査」と単一遺伝子疾患(遺伝病や先天代謝異常症)の診断や、移植に関わるHLAの遺伝子型、ファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics:PGx薬理ゲノム学)、多因子疾患の易罹患性(疾患感受性)に関わるSNP(1塩基多型)を検査する「遺伝学的検査」(生殖細胞系列遺伝子検査)や個人識別に分類されます。
なお、社団法人日本衛生検査所協会(日衛協)に設置された「遺伝子検査受託倫理審査委員会」では、2001年に「ヒト遺伝子検査受託に関する倫理指針」(2007年4月改正)(日衛協倫理指針)を策定するとともに、遺伝子検査及び染色体検査の受託状況を把握するために、1999年以来継続してアンケート調査を実施してきました。
医療として利用される遺伝子・染色体検査は、1.対象患者数が多い、2.診断に用いることができる、3.治療効果を判定するために用いることができる、4.モニタリングに用いることができる等の利用が想定される場合には検査として実施される機会が大変多くなります。特に最近の傾向としては、抗癌剤等の薬物療法において治療対象患者を層別化するためのファーマコゲノミクス(PGx)検査に注目が集まっており、日衛協の実態調査でも急増していることが明らかになってきています。

なお、これら遺伝子検査のうち、遺伝学的検査により得られる結果は、患者個人の確定診断や治療方針を決めるために利用できる反面、生涯変化しない個人の遺伝情報を明らかにする検査であること、その結果が被検者の血縁者にも共有されること等から、その取扱い方によっては倫理的・法的・社会的諸問題を招く可能性があります。このため、遺伝学的検査の実施に際しては、検査実施時のインフォームド・コンセント、個人情報や個人遺伝情報の保護体制の整備、検査に用いる試料の管理(適正な利用と廃棄)、検査前後の遺伝カウンセリング体制の整備など多くの課題が存在していることから、慎重な対応が必要とされています。

4.エスアールエルの遺伝子検査受託に対する姿勢
研究分野に関する倫理指針としては、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関わる「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成13年3月29日策定 平成16年12月28日全部改正 平成17年6月29日 一部改正 平成20年12月1日一部改正 平成25年2月8日 全部改正 文部科学省、厚生労働省、経済産業省)や臨床研究に関する「臨床研究に関する倫理指針」(平成15年7月16日 平成16年12月28日全部改正 平成19年8月16日全部改正 平成20年7月31日全部改正 厚生労働省)が公表されています。
また、診療の分野に関しては、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのための個人情報保護ガイドライン」(平成16年12月24日 平成18年4月21日改正 平成20年9月17日改正厚生労働省)や遺伝関連10学会による「遺伝学的検査に関するガイドライン」(平成15年8月)が公表されています。
さらに2011年2月には日本医学会より「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(平成23年2月 日本医学会)が公表されました。
また、近年注目を集めているファーマコゲノミクス(PGx)検査に関連する指針・ガイドラインとしては、「ファーマコゲノミクス検査の運用指針」(平成21年3月11月改定、平成22年12月改定 平成24年7月改定 日本人類遺伝学会 日本臨床検査医学会 日本臨床検査標準協議会)や「ゲノム薬理学を適用する臨床研究と検査に関するガイドライン」(平成22年12月 日本人類遺伝学会 日本臨床検査医学会 日本臨床薬理学会 日本TDM学会 日本臨床検査標準協議会)が公表されています。

一方、遺伝子検査の受託に関しても、日衛協から「ヒト遺伝子検査受託に関する倫理指針」(平成13年4月10日策定 平成16年9月16日改正 平成19年4月1日改正)が公表されています。なお、近年公表された各種指針・ガイドラインを受けて日衛協でも指針の名称を「遺伝学的検査受託に関する倫理指針」(平成23年10月1日)と変更するとともに、各種見直しを行いました。

エスアールエルにおいても、2001年の11月にはいち早く「SRL倫理審査委員会」を設置し倫理審査体制を整えるとともに、2002年2月に「SRL遺伝子倫理ガイドライン」を策定し、その後は外部環境の変化に応じた改正を継続し、遺伝学的検査の受託に必要な倫理的枠組みおよび検査体制を構築し慎重に対応しております。

5.エスアールエルはさまざまな角度から遺伝子検査を見つめます
エスアールエルでは、1984年にB型肝炎ウイルスの遺伝子検査を受託開始して以来、大学・大学病院から研究検査としての各種遺伝子検査(白血病や固形癌の診断や抗がん剤に対する薬物応答性に関わる様々な遺伝子検査及び各種の遺伝学的検査)の受託や、様々な研究機関と共同研究を行ってまいりました。
その他、エスアールエルは2001年より5年間にわたり「遺伝子診療フォーラム」を開催し、医療機関の先生方や企業の研究者のみならず、看護や遺伝カウンセリングを行う立場の方々、倫理・社会問題の専門家、法学専門家、マスコミの方々など、さまざまな分野から参加いただき、遺伝子診療に関わる技術的進歩のみならず倫理的・法的・社会的諸問題(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues)に関する情報を収集してまいりました。
なお、近年は社団法人日本衛生検査所協会 「遺伝子検査受託倫理審査委員会」やNPO法人日本臨床検査標準協議会に設置された「遺伝子関連検査標準化専門委員会」等に参画し、遺伝子検査の倫理的・法的・社会的枠組みの検討や標準化に関する方向性の検討に積極的に関わっています。さらに、関連学会や第一線の研究者とも密接に連携し科学的・技術的進歩をいち早く察知し、遺伝子検査の実用化を進めています。
2006年より、各種のヒトの遺伝子検査に保険が適用されるようになり、保険適用項目としての白血病、悪性リンパ腫関連検査、悪性腫瘍検査、薬剤の副作用予測検査、遺伝学的検査の受託体制を順次構築してきました。近年は、特に「個別化医療」に関わるファーマコゲノミクス(PGx)検査の実用化に注力しております。
このようにエスアールエルでは、日頃よりゲノム医療に関する科学的・技術的な情報のみの収集ではなく、倫理的・法的・社会的諸問題に関する情報収集も行い、さまざまな角度から遺伝子検査をとらえ、偏りのない遺伝子検査に関する考えのもと、特に、遺伝学的検査の受託には慎重に対応することにより医療に貢献して参りたいと考えています。

SRL遺伝子倫理ガイドライン(2016年12月)  (PDF形式データ:214KB)

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