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クリニックで必要な感染防止対策は?~環境の面から~

クリニックで必要な感染防止対策は?~環境の面から~

 私は仕事柄、全国いろいろなクリニックを訪問してきました。凝ったデザインのクリニック、歴史的な建物、最新機器満載のクリニックなど多種多様です。玄関を入ると待合に、具合の悪そうな患者さんがところ狭しに座って順番を待っています。小児科では注射で泣いた子につられて泣く子どもたち。昔からあるごく普通の光景です。 近年、感染症の時代といわれ、その感染防止対策がとられるようになってきました。 さまざまな感染防止対策がありますが、中には「これ効果あるのかな」と思うこともあります。そんな事例をあげてみます。

◆霧の中に患者さんが。。。

 ちょうどインフルエンザのシーズンでした。クリニックのドアを開けて入ると、室内全体が白っぽく霞んでいます。患者さんたちは一様にマスクをして咳き込んでいます。室内に入るや否や、私も咳き込んで止まらなくなりました。院長に伺ってみると、次亜塩素酸ナトリウムを超音波で霧状にしているのだと自慢げに語られました。次亜塩素酸ナトリウムは粘膜刺激性があり、高濃度だと菌だけでなく人体にも有害です。また、塩によって医療機器にも悪影響が懸念されます。そもそも空気を無菌にする必要はありませんので、むしろ換気をした方がよほど身体に良いと思います。

◆じゃあ空気清浄機は。。。

 締め切った室内に感染症に罹患した患者さんが多い場合、感染しやすくなります。一方、冷暖房の効率を考えると換気をためらうことも多いはずです。こうした室内の空気を清浄化して循環させることは大切です。フィルターの管理はとても大切ですので、定期的にこまめに掃除しましょう。暖房で乾燥する冬場は加湿器によって適湿度を保つのも重要です。この場合、結露によるカビの発生に注意が必要ですので、窓際や壁面付近の状態には目を光らせておきましょう。尚、加湿器ですが、水タンクは放置しますと、レジオネラ菌やセラチア菌などがバイオフィルムを形成して定着する危険性があります。特に超音波式加湿器は、水とフィルターの管理を毎日行うことが重要です。

◆スリッパを触った手が気になる。。。

 クリニックに入ると、スリッパに履き替える場合があります。これはどうなんでしょう。床が傷つきにくくする効果はありそうです。でも感染対策から考えると
1)スリッパの管理が大変~
人の足は多くの微生物がいます。なかでも水虫の原因菌である白癬菌は伝播しやすく、感染すると治療に時間がかかることがあります。毎回消毒薬入りのワイプで拭いたり、紫外線照射したり、管理が面倒でコストもかかります。
2)スリッパを触った手~ こんな他人がはいた汚いスリッパと、自分のくつを触った手で、患者さんたちはクリニックの中を触ります。これはいかがなものでしょうか。
もしスリッパを履き替えなければ、必要以上に手が汚れることも室内が汚れることも無いかもしれません。そういう意味でスリッパ交換はむしろしない方が良いと思います。>

◆雑誌やおもちゃ。。。

 待合室には居心地を良くするため、雑誌やおもちゃがおいてあります。この雑誌ですが、鼻水をかんだ患者さんが読んだ後、誰か拭いてくれていますか。先日行ったクリニックではビニールカバーをして毎日拭いておられました。それも良いですが、置かない方がよいと思います。また、小さなお子様のおもちゃですが、これも同様です。プレイルームで遊ぶのは良いですが、おもちゃは各人が持参する形の方が管理不要でよいと思います。当然ですが、これらは当然感染源になりえます。

◆観葉植物や水槽は。。。

 アメニティの充実のため、グリーンを配置したり水槽を配置したりされるクリニックも少なくありません。待合で眺めていると癒やされますね。切り花や植物、水槽とも、カビにとっても絶好の環境となります。カビが発生しないように丁寧に管理してあげ、永く楽しめるにようにしましょう。できなれければ撤去しましょう。

◆トイレはどうしよう。。。

 共用のトイレはどうされていますか。洋式便座が主流だと思いますが、座面、ドアノブ、スイッチ類、レバーなどは1日数回消毒薬ワイプなどを用いて、汚れと一緒に感染源のウイルスを除去しておいた方がよいです。嘔吐や下痢の方が使用された後は、特に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いるなどして念入りに清掃しておきます。ノロウイルスやロタウイルスなどは感染が拡がりやすいので要注意です。

◆やはり手指衛生。。。

 トイレを利用した後、手洗いしない人がいます。ハンカチをもっていない、面倒くさいなどの理由で手洗いしないようですが、そもそも習慣になっていないことが考えられます。
手洗いシンクには、手洗い用液体石けんだけでなく、引きおろし型のペーパータオル、ゴミ箱に加えて、アルコール手指消毒薬を常備して、使い方のポスターを貼付しておくのも有用です。感染症の流行期は特に、とにかく手指衛生を徹底してもらう習慣をつけることが、公衆衛生の面でも重要です。

おわりに

 病院では一般的な感染防止対策ですが、市中のクリニックでも同様です。環境を無菌にすることは難しいですが、流行性の感染予防はとても大切です。合理的に考えてシンプルな対策を実施していきましょう。

株式会社ヘルスケアスクエア 代表取締役 佐々木昌茂

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