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注意すべき感染症の話題

暑い夏がやってくる

2020年の盛夏に、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、それまでに多くの人が世界各国から我が国にやってきます。人が動くということは病原体も一緒に移動すると考えなければなりません。そのため、市中のクリニックの外来でも、言葉だけでなく、その人たちの生活していたところはどんな国で、どんな環境なのか、どんな食生活をしているか、どんな感染症が流行しているのかなど、知るべきことが数多くあります。既にトラベルクリニックや海外渡航クリニックなどの経験や知見がありますので、それらをチェックして準備しておく必要がありそうです。少しそこにフォーカスしてみたいと思います。

真夏といえば・・・

 真夏といえば蚊ですね。
蚊は吸血を繰り返すことで様々なウイルス感染症の病原体を媒介するやっかいな昆虫です。
熱帯や亜熱帯だけでなく、都市部の水たまりや空き缶に溜まった水でも繁殖することから、駆除はとても難しいです。数年前、都心の公園で蚊に刺された海外渡航歴の無い人がデング熱を発症しました。
蚊を媒介とするウイルス感染症には、デング熱の他にも、マラリア、チクングニア熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、ジカウイルス感染症など数多くあります。そもそもワクチンが無い、またあってもワクチンを接種していない人々がキャリアとして入国し、蚊に刺されることで連鎖が始まることも充分考えられます。
空港で発熱者をサーモグラフィーで検知する方法がどの程度奏功するか、その他にも幾重にも対策を講じておく必要がありそうです。
例えば、地方自治体とその衛生局、保健所、医療機関などが連携し、情報共有する方法や、人が密集する地域での水たまり消毒や空き缶などの撤去といった方法も有効かもしれません。また、個人レベルでは、虫除けスプレーの利用や、蚊帳の活用、長袖長ズボン(暑いので難しいですね)などでしょうか。こうした難治性のウイルス感染症は市中の一般的な医療機関でフォローしきれませんので、日頃の予防衛生活動と啓発を含め、地域社会と一般住民の正しい理解と協力が不可欠ですね。

季節性インフルエンザ

 ウイルスの話でしたので、もうひとつ。季節性インフルエンザです。
今年は晩春から初夏にかけてもインフルエンザの集団感染が散見されました。
ひとつひとつの理由は調査結果を待つとして、以前2007年だったでしょうか海外の看護部長さんと話した時のことです。ハワイ州の病院では、その年9月にインフルエンザの流行が見られたそうです。常夏の島でもインフルエンザが流行するんだ。。。と感心したことと、こんな時期に流行するんだ。。。とも思ったわけです。
例えばここで帰国間際に感染して、航空機で帰国したとすると、しばらく経ってから発症することになります。このようなことが毎日世界各国で起こっていると考えておいた方が合理的です。

ワクチンについて

先般、米国のある地域で麻疹が流行しました。これに対して、米国政府は、衛生上の理由から、ワクチンの接種を行わない人に対して多額の罰金を命じました。宗教上の教義や文化的な理由から、ワクチンを拒絶する人々の間で拡がった今回の集団感染は、来年世界中から多くの人々を迎える我々にとって、対策の重要性を示してくれたと思います。ワクチン接種が進んでいるのは、先進国が主であり、多くの人々は経済的理由や宗教的な理由などからワクチンを接種できていません。こうした人々も我々は差別無く受け入れる必要があります。
我々は、粛々と正しい情報を発信し続けていくことしかできないかもしれませんが、少なくとも、ワクチン接種で防げる病気は防ぐ努力を惜しまないようにしたいものです。

おわりに

さて、ここまで書いてきて、実際、酷暑猛暑の東京では、熱中症で気分が悪くなる人が続出すると考えられます。そのとき、多言語対応はどうするか、診療上のコミュニケーションツールは、厚労省と外務省およびスポーツ庁、そしてオリンピック・パラリンピック委員会が核となって、民間企業や外語大なども含めて、こうした対応ツールを準備する必要があります。
特にクリニックに駆け込んでくる場合も充分にありえますからね。
コンビニエンスストアや郵便局・駅などに、経口補水や瞬間冷却剤など準備しておいた方がよさそうです。
公共の飲料水&日陰マップなどもあると、医療者としても安心かもしれませんね。
お・も・て・な・しをする我々にとって、選手や関係者および旅行者を受け入れる覚悟を、そろそろ本格的にする時期かもしれません。

株式会社ヘルスケアスクエア 代表取締役 佐々木昌茂

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