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開業地は慎重に選ぼう!市場調査の見方、考え方を知る

市場調査における3つの情報

 新規開業に重要な点はいくつかありますが、間違いなく立地場所、市場調査やマーケティングは重要な項目です。
 どこに開業するのか、その場所はどんなところなのか、競合相手はいるのかなど開業したら、経営に直結する点が沢山あります。立地条件は確かに重要な点ですが、実は必ずしも立地条件だけが全てでもありません。不利な立地条件下で開業するコツもありますが、それはまた機会があったらお話しします。
多くの開業コンサルティングでも市場調査分析表などを作成してくれますが、意外にもその分析表の見方を親切に教えてくれるところは少ないようです。理由はいくつか考えられますが「全ての条件が満足する立地条件は皆無だから」のようです。そこで、今回は市場調査分析表の基本的な見方、考え方を中心にお話ししていきたいと考えています。
 市場調査は、大きく3つに区分されていて、地理的な情報、人口に関する情報、そして競合医療機関に関する情報です。

 

■地理的な情報

 交通の便は良いのか、駅などから近いのかなどが確認できます。下の地図をご覧ください。

開業候補地

 ある場所(開業候補地)を中心に半径0.5㎞、1㎞、2㎞の3つの円が描かれています。この円の中に(患者となる)人が多く、交通の便が良く、競合相手が少なければ良い立地条件と考えがちですが、いくつか注意すべき点があります。人は幹線道路、川(橋)、線路をわざわざ超えて来院することが少ないということです。その点に注意して改めて地図を見ると幹線道路も川も線路もある地域なので、どの場所に開業するかを決めるには難しい場所ということが分かります。
 またビル診療などを考えていらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、特に整形外科では、患者特性を考慮してエレベーターの有無もチェック項目です。できれば1階が良いのですが、リハビリとセットで開業すると複数フロアを借りることになりますので、どちらかが1階にあることが理想です。

■人口に関する情報

 開業予定の周辺に人口が多ければ、患者も多く来院すると考えがちですが、人口数には、様々な単位で人口が集計されています。性別、年齢別、昼間人口/夜間人口さらには世帯数や持ち家率などは事前に是非確認しておいたほうが良い情報です。すべての情報は行政機関が集計して情報公開していますので、多くの場合はネット上から無料で入手可能です。
 まず性別の人口についてですが、これは産婦人科や泌尿器科など患者に性別の特徴が表れる診療科は特に注意が必要です。次に年齢別ですが、小児科などは年少人口の多少や増加/減少傾向なども必要な情報です。一般的に都心部より少し郊外に離れると、いわゆるベッドタウンと呼ばれる地域に年少人口は多い傾向があります。さらに患者の多くは高齢者であるということも考え高齢者人口もチェック項目です。
 昼間人口と夜間人口については、どのようなスタイルの事業を行うのかにより判断が分かれますが、例えば千代田区は、昼間はこの地域に働きに来る人が多い(昼間人口が多い)が夜間は皆帰宅するので、夜間人口は少ないということになります。開業スタイルが昼間に働きにきているサラリーマンをターゲットにしているなら、千代田区のような場所で開業しても良いでしょうが、家庭医のような密着型の開業スタイルを考えているなら、千代田区のような場所で開業は難しいでしょう。地域密着型の家庭医を考えているなら、世帯数が多く、持ち家率が多い場所が開業に向いている場所と言うことになります。
 さらに近年は外国人が多く居住している地域もありますので、外国人の国別人口なども必要な情報になってきました。

■競合に関する情報

 同じ診療科を標榜している医療機関がどこに何軒あるのかは非常に気になるところでしょう。開業するスタイルがクリニックなどの形式であれば、病院を競合先としては、あまり気にしなくても良いでしょう。むしろ、病院は開業医から患者を紹介してもらいたいので開業後、病院の連携室のメンバーが率先して挨拶にやってくるでしょう。開業医のステータスとして、どこの病院と連携協力しているのかということは患者にとっても医療機関を選択する情報のひとつになりますので、連携先の選択には注意しましょう。
 競合先は気になるところだと思いますが、あまり気にしすぎるとどこにも開業できなくなってしまいます。また競合先が少ない地域があり、そこに開業できたとしても、そのような地域には後から複数の開業が続くことも珍しくありません。競合先の有無を気にするのではなく、同じ診療科でも差別化をすることに注力したほうが良いでしょう。自院の地域のポジショニングを明確にすることにもなり、競合関係から共存関係に転換することも可能です。さらに後から続く新規開業があったとしても自院の強みを明確にしておくことは重要です。

株式会社FMCA代表取締役 藤井昌弘

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